辞めてもらうことは不可能だが 2015.02.02
 先日、通販番組の羽毛布団について当店のお得意様から問い合わせがあった。「〜の販売している羽毛布団はどうなの?」と言うものだった。価格は?羽毛の仕様は?側とキルティングの仕様は?とお客様に質問すると、その回答があった。価格は確かに安いが、仕様は安値のからくりだらけであった。まずは羽毛の仕様で、ダックダウン85%で羽毛量は1.1kg。側はポリエステル85%、綿15%の混紡で、キルティングは3×4マスの立体キルトであった。しかしその番組の中では、「これが最適なバランスです」と言っていたと言われた。お得意様なので、フランクにこう答えた。「それは売る方がアンバランスですよ」とは言わないと。お客様も笑いながら「そうですよね」とおっしゃった。その後安値のからくりについて説明すると、お客様も納得された。まず羽毛だが、エクセルラベルのダックダウン85%は問題ないが、1.1kgでは少なすぎると言うことだ。ダック85%なら1.4kgが普通で、1.1kgではそんなに暖かくない。側地のポリエステル混紡は軽いというメリットはあるが、上質ではない。この手の羽毛布団はこれを側地に使うケースが多く、安売りの専売特許になっている。そして売り手はこの混紡生地をベストバランスだと言うのだ。キルティングの横3マスも4マスに比べ暖かいと言う。マチ付の羽毛布団でキルティング付近に羽毛がない事はまずあり得ない事で、キルティング付近に羽毛がないのならそれは羽毛の質に問題があると言うことになる。また襟元に縫目がない事で暖かいと伝えているが、これも上記と同じことだ。キルティングの数が少なければ縫製と羽毛充填の手間を省いているのだ。商品を売る時、自分の紹介する商品が素晴らしいと言うのはある意味当たり前だが、知識のない人が説明するのだからたちが悪い。その後その商品の動画を拝見したが、想像通り薄い羽毛布団であることが判明し、その旨をお客様に伝えた。結局当店のオーダー羽毛を購入していただく事になったのだが、やはり商品を売る際嘘を言ってはいけない。と言うより、メーカーの台本通りに伝えて、何の疑問も言わない番組MCに疑問を感じる。布団の知識がないユーザーに安いから良いだろう的な売り方はもう辞めてもらいたい。現代、布団に限らず溢れかえっている通販番組。特に布団関連は騙し、騙されやすい商品だ。価格は確かに安いのだが、それはメーカー直販に近い事と、からくりがあるという事は確かのようだ。